鶴見大学図書館で“手で見る展示” 視覚障害への理解 3D模型で促進 14日まで企画展
障害者週間に合わせ企画
鶴見大学図書館=横浜市鶴見区鶴見2−1−3=で12月1日から、視覚障害者の理解促進などを目的とした企画展「手で見て楽しむ旅への誘い」が行われている。会期は14日まで。
展示は、毎年12月3日から9日の障害者週間に合わせて実施されているもの。
主催は情報のバリアフリー化などを研究する鶴見大学文学部・元木研究室。同学部ドキュメンテーション学科4年生で、研究室で学ぶ小島千咲江さんと元木章博教授が企画した。
世界遺産など模型に
企画展では、「旅」をテーマに、3Dプリンターで製作したカンボジアのアンコール・ワットやインドのタージ・マハル、日本の仁徳天皇陵古墳などの模型を展示。
図書館にあるガイド本も並べ、手で理解するという視覚障害者の視点を知る内容としており、「視覚障害者の方はもちろん、こうした情報発信の方法があるという部分を一般の皆さんに知ってほしい」と元木教授は語る。
立体で増す情報量 健常者と共有も
視覚障害者の新たな情報収集手段として注目を集めている3Dプリントを活用した触察模型(しょくさつもけい)。
これまで特に全盲などの場合、平面の2次元で読み取り、物体をイメージすることが主だったが、3Dプリンターを活用することで実寸で触れられないサイズのものなども、立体の3次元で理解が可能となった。
「立体となると情報量が増える。実際、模型を触った視覚障害者の方から、『形が違うと思っていた』などという話を聞いたこともある」と元木教授。
「情報を収集するための図書館に模型を展示するのは、さまざまな可能性を広げることにつながる」と展示の狙いを説明しつつ、「同じ情報が共有できれば、見える人と見えない人が同じイメージで話をできるようにもなる」とする。
博物館調査の学び活かす
卒論の研究で全国の博物館を調査しているという小島さんは「博物館では25年以上前から触れる展示があった」と指摘。
そうした知識を活かした展示方法などについて、「図書館では、本は触れて良いものという認識だが、そのほかの展示物は触れていいかわからないと思うので、むしろ触ってというポップを作るなど工夫した」と話す。
入場・観覧は無料。学外利用は総合カウンターで入館名簿に記入と身分証明証の展示が必要となる。開館は平日8時50分〜21時、土曜〜18時(日曜休館)。問い合わせは鶴見大学図書館045-580-8274。