寺尾小学校の図書館

 横浜市立寺尾小学校がこのほど、子どもの読書活動における優秀実践校として認められ、文部科学大臣表彰を受けた。

 図書ボランティアが継続する読み聞かせや、図書委員会児童によるスタンプラリー企画といった読書推進の活動が称えられた形となり、「評価されうれしい」と関係者らは喜んでいる。

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 この表彰は文科省によるもの。子どもの読書活動の推進を目的に、特色ある優れた取組を実践する図書館、学校、団体などを評価するもので、2002年から実施している。

 今年は全国226の学校、図書館、団体が表彰され、横浜市内では、寺尾小学校のほか、本牧南小学校(中区)、中図書館(中区)が表彰された。

表彰状を手に笑顔を見せる図書ボランティアメンバーら(前列左から2人目=北村校長、同3人目=学校司書・樋口さん)

図書委員が独自スタンプラリー

 寺尾小学校の取組で主に評価されたのは、図書ボランティアの読み聞かせと、児童による図書委員会の取組の2つ。

 任意の保護者らが参加する図書ボランティアの読み聞かせは、コロナ禍でも動画を作成し校内放送で流すなど、休止とせずに工夫して実践。

 図書委員会では、児童がおすすめの「紹介カード」を本とともに掲示し、読みたくなる仕掛けを演出した。

 また、読書するとスタンプがもらえるスタンプカードも作成。

 全てたまると、おすすめ本のジャンルなどを記した「おみくじしおり」がプレゼントされる読書スタンプラリーを行うなど、全校児童が読書を楽しむ仕組みを考案したことが評価された。

 北村高則校長は「学校、家庭、地域が一緒になって積み上げた活動として認められた名誉な表彰。誇りに思う」と話した。

抑揚と臨場感あふれる読み聞かせが各クラスで行われる「よむよむタイム」

読み手の自由 楽しさあふれる読み聞かせ

 コロナによるさまざまな制限が解除された5月10日の「よむよむタイム」。

 この日参加可能だった図書ボランティアが、2年生と3年生の教室で読み聞かせを行った。教室では通常の読み聞かせのほか、コロナ禍を経て、動画やBGMを流しながらなど、「読み手の自由」というとおり、色々な形の読み聞かせが響いていた。

20年続く任意参加の「図書ボラ」

 寺尾小学校の図書ボランティアは、現役・卒業生問わず、任意で地域の保護者らが参加。

 横浜市が学校図書の全校配置に取り組み始めた2013年度よりも以前から活動しており、20年近くになるという。

 現在、メンバーは60人ほど。主な仕事は図書館の清掃や本の修理といった「環境整備」と、「読み聞かせ」だ。

「なくしちゃいけない」 コロナ禍の試行錯誤

 今回の表彰に際し特に評価を受けた「読み聞かせ」は、寺尾小で毎週水曜日に設定されている朝の読書時間「よむよむタイム」の15分間に行うほか、年に一度「よむよむスペシャル」といったイベントも企画。

 図書ボランティアによると、新型コロナ発生以降も、休校時以外は一部を除きそうした活動を継続。休み時間に廊下で告知なしの読み聞かせを試すなど、「なくしちゃいけない」と手を尽くした。

 校内のテレビ放送も活用し、BGMや効果音をつけるなど工夫。「作成した動画を教師と共有し、黙食中の昼食時間にも使えるようにしたり、試行錯誤だった」と振り返る。

 今年で赴任3年目という学校司書の樋口けい子さんは「コロナで活動していないところがほとんどだったが、継続していて驚いた」と話し、活発さは学校司書が舌を巻くほどだ。

本の修理も時間があるときに行う

 「本が好き、子どもが好きだから続けている」と、自分たちが楽しむ様子を見せる図書ボランティアのメンバー。

 森山光芳PTA会長は「子どもたちが本を読む習慣が減る中で、どうやって本に触れてもらうか悩む保護者は多いと思う。親としては本当にありがたい」とし、「音読の宿題がうまくなっていますよ」と笑顔を見せる。

 北村校長は「寺尾小学校は、『まちとともに歩く』ということが基盤になっている」としながら、「いい取組だから始めたいと言っても、人がいなければできないこと」として、図書ボランティアの活動に敬意を表した。


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