一年間の行政運営の方針示す「区運営方針」

 横浜市の政策方針に合わせ、市内18区と各局統括本部が、一年間の組織の基本目標と目標達成に向けた施策や組織運営の方向性を示す運営方針。

 毎年3月、横浜市全体の予算案確定とともに各区の事業予算・内容も定まり、4月以降の新年度に各区が実施する事業が決定する。

 運営方針はこうした新年度に取り組む事業の柱となるもので、例年6月ごろに公表されている。令和5年度の鶴見区運営方針は、横浜市中期計画2022〜2025の基本戦略「子育てしたいまち次世代を育むまちヨコハマ」をもとに策定。

 基本目標に「いつまでも住み続けたいまち 鶴見」を掲げる鶴見区の今年度の取組について、運営の舵をとる渋谷治雄区長に話を聞いた。

※参照/令和5年度鶴見区運営方針PDF

インタビューに答える渋谷区長

「住み続けたいまち」へ 4ジャンル30事業を展開

Q1、今年度の運営方針について、基本となる目標と策定の経緯について教えてください

 運営方針は毎年度、鶴見区が皆さんにお示しする、1年間の目標となるものですが、今年度は昨年12月に策定された「横浜市中期計画2022~2025」を踏まえて策定をしている、というのが大きなポイントです。

 基本目標は「いつまでも住み続けたいまち 鶴見」です。こちらも中期計画の基本戦略「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」のもと、誰もが鶴見に住み続けたいと思っていただける区政運営を進めていく、という決意を込めています。

 その目標の達成のための施策として、「地域力の強化」「区内経済・活力の向上」「子どもから大人まで安心・元気に」「区民サービスの向上」を4本の柱に据え、全30事業を展開していきます。

Q2、その4本柱について、もう少し具体的にお聞きしたいのですが、まず「地域力の強化」の部分では、どんな取組を主に展開していくのでしょうか?

 主な取組として「防災活動推進事業」では、お住まいのエリアによって地域の特性や災害リスクも異なりますので、そのような情報をわかりやすくお示ししながら、皆さんに備えをしていただくための防災講座を5月以降、順次行っています。

 また、各地域防災拠点においては、備蓄庫がひっ迫しているというのが大きな課題になっていますので、倉庫整理やその後の適切な維持管理に向けた支援を9月以降、新たに行っていきます。

 そのほか、「自治会町内会振興事業」では、自治会町内会でのICT機器の導入に係る費用の補助のほか、使用方法の出張講座を行ったり、自治会町内会が抱える課題解決をICT活用により支援するための相談会を行っていきます。

一年間の方針について語る渋谷区長

Q3、「区内経済・活力向上」について、withコロナの社会となり、コロナ禍で停滞していたまちの活力を復活させるような取組があるのでしょうか?

 昨年は朝ドラの舞台地となったこともあり、全国的に鶴見が注目されることとなりました。

 それを機に、多くの地域や団体、企業の皆さんと連携した取組を実施できたことは鶴見区にとって財産です。

 区内の企業や団体のみなさんが集まる「観光ネットワーク」づくり交流会についても4年ぶりに再始動していますし、今年度は区内の活動する皆さんとの繋がりを継続、発展させることを目指していきます。

 具体的な取組の一つとして、区内の複数の商店街を巡るスタンプラリー企画を10月頃に予定していますので、ぜひ多くの方に足を運んでいただければと思います。

鶴見区内のさまざまな団体・企業が参加する鶴見「観光ネットワーク」づくり交流会(写真は6月開催の様子)

Q4、「子どもから大人まで安心・元気に」ですが、まずは子育てに関する取組について。基本目標策定の経緯の通り、横浜市全体として子育て世代への取組強化をうたっていますが、鶴見区としても今年度独自に推進していく子育て支援事業があるのでしょうか?

 鶴見区は市内18区の中でも平均年齢が4番目に若く、子育て世代が多く暮らしていることから、子育て支援には従来から力を入れてきました。
 今年度は特に、情報発信を強化するため、地域子育て支援拠点「わっくんひろば」のウェブページに、お子さんの遊び場や相談先などの地域の子育て情報を集め、皆さんが知りたい情報にアクセスしやすい環境づくりを進めていきます。

 あわせて、鶴見区は多くの外国人が暮らしていますので、多言語ややさしい日本語での情報提供についても順次進めていく予定です。

地域の子育て支援情報の発信強化が進められる「わっくんひろば」のホームページ

Q5、「子どもから大人までー」の大人世代向けの事業はいかがでしょうか?

 「ヘルスアッププラン」では、従来から行っている講座やイベントでの生活習慣病予防の啓発に加えて、区民の皆さんの健康づくりのきっかけとなるよう、ウォーキングマップを新たに作成します。コロナの影響で、テレワークの普及や外出自粛などもあり、おのずと運動不足となっている方も多いと思います。

 ウォーキングは年齢や体力問わず、取り入れやすい運動ですので、これを機にぜひ幅広い世代の方に活用していただきたいですね。

Q6、地域の祭りやイベントごとも元に戻りつつあり、区長も地域に顔を出す機会が増えたのではないかと思いますが、改めて鶴見区の雰囲気はいかがでしょうか?

 おっしゃるとおり、今年5月には、新型コロナウイルスの分類が5類に移行したこともあり、地域のイベント、そして鶴見が持つ活気が以前のように戻りつつあることを感じています。

 イベントなどに伺う度に、区民の皆さんのあたたかさ、そして、鶴見が好きで、鶴見を良くしよう、という熱い想いを感じ、本当に心強いかぎりです。

地域のイベントであいさつする頻度も増えたという渋谷区長(写真はおきつる角力大会)

Q7、最後に鶴見区民へのメッセージをお願いいたします。

 今回お話したとおり、運営方針には、1年間の鶴見区として取り組むべき施策や事業をまとめていますが、それを進める土台となるのが、組織運営です。

 職員一人一人が市民目線とスピード感を持って、皆さんが今求めていることは何か、しっかりと考え、区全体が「チーム鶴見」としてサービスの向上に取り組むことが重要です。

 そして、鶴見に暮らし、働く皆さんとご一緒に「いつまでも住み続けたいまち 鶴見」をめざしていきたいと思います。

 まだまだ暑い日が続きますが、どうか健やかにお過ごしください。

―渋谷区長、ご協力ありがとうございました。


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