母なる鶴見川

独立国家「鶴見」誕生へ

 横浜でも、もちろん川崎でもない、“独立国家”「鶴見」の誕生だ。

 長年、「川崎市鶴見区」などと誤解され、某有名芸人などから「横浜一ヤバいまち」とレッテルを貼られてきた鶴見区が、どこの所属かわからない問題(?)に終止符を打つべく、新年度を迎えたエイプリルフールの4月1日、突如「独立」を宣言した。

 住民からは「横浜市?川崎市?いやいや、鶴見です」と胸を張る音が聞こえてきそうだ。

分断されるエリア 愛がなかったのになぜ?

 鶴見区は、横浜市の区制施行にともない、市内最初の5区の一つとして1927年に誕生。3年後の2027年に区制100周年を予定している。

 コロナ禍、街紹介界隈の天国的な某人気番組で、「今日は国道よりこっち側」と分断されたのは明らかに制作的意図の強さを伺わせたが、実際、「山側、海側、川向こう」など、区域内を南北に走る線路や鶴見川のおかげか、同じ区内でもエリア分けしがちなことは否めない鶴見。

 実は数年前の横浜市による市民意識調査では、区に対する愛着を問う設問で市内18区中最下位を記録したこともあり、一方では今回の一致団結感のある独立宣言に「愛がなかったはずでは?」と驚きの声も上がっているよう。

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 このあたり、住民たちの気持ちを紐解くと、細分化されたエリアのせいか、「鶴見区○○町」といった鶴見区全体よりももっと小さい極ローカルな単位での愛が深いことが理由だと推察される。

 これはつまり、残念ながら夏の花火は休止となっているものの、いわゆる「区民まつり」とされるイベントが3つもあった地域は他にないばかりか、区域内の各地区で独自の祭りや歴史、文化などが存在していることが背景で、「おらがまちがNo.1」という声なき主張を感じる場面が多々あるからだ。

2022年度、JR東日本の横浜市内駅では3番目に乗車人員の多かった鶴見駅

一致団結力はピカ一!?

 そんな一見するとバラバラ感のある鶴見だが、今回の独立は運命とも言える裏付けがある。

 まず、18区ある横浜市の区のうち、分区と言われるエリア分けをしていないのはこの約100年間で鶴見区のみという点。

 さらに、例えば事業者などが加盟する法人会や青色申告会、税理士や宅建の支部に至るまで、他のエリアではいくつかの区が合体して存在しているにもかかわらず、そのほとんどが鶴見単独で成り立っているという活発さもその一つだ。

 そうした「おらがまち・団体がNo.1」という気質を持つ鶴見住民が、「対みなとみらい」、「対川崎」、「区が100歳」などという観点に立ったらどうなるかー「鶴見がNo.1だろ」となるのは必然であり、「おらがまち」への愛着の深さが根っこにある分、一致団結したときの力はとんでもないことは想像に難くないだろう。

けっこう先まで人口キープするみたい

 現在、人口が30万人に達する勢いのある鶴見区は、2070年時点でも現在より人口が多いという推計も出ており、「人口的に一つの市でもいいんじゃない?」といった声が大勢を占めた結果、独立の道を選ぶこととなったらしい。

 住民たちは今後も、「おらがまち」の魅力に磨きをかけ、鶴見のまち全体をリードしていくような気がしてならない。編集部では、3年後の鶴見100歳、祭り好き、イベント好きの住民たちが、増加する新住民も交え、みんなで鶴見を担ぎ上げることを夢見ている。

※この記事はエイプリルフールにともなう「嘘(願望)記事」です。ご意見、誤解、間違った拡散等によるクレームは一切受付ませんのでご了承ください

※但し、鶴見区の成り立ちや意識調査の結果、分区、人口推計の件等、リアルの話も一部含まれています


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