總持寺で世界最大規模の坐禅イベント 1,200人が“ひとつ”に 太祖・瑩山禅師700回大遠忌特別企画が集大成
国内外12カ寺 オンラインでつなぐ
「世界最大規模」と銘打ち、国内外12カ寺をオンラインでつなぐ体験型坐禅イベント「總持寺 世界禅Challenge」が、大本山總持寺=横浜市鶴見区鶴見=を主会場に行われ、1,204人の参加者が場所と時を越え、坐禅を通し“ひとつ”となった。
昨年11月から全8回の集大成
イベントは、世界1万5千カ寺ある曹洞宗の二大本山の一つ、大本山總持寺が、同寺を開いた太祖・瑩山禅師の700回大遠忌の特別企画として昨年から進めてきたもの。
「Zen in One」を合言葉に、教えの根幹となる「坐禅」を通し、人種や性別、宗教や宗派も越えて一つになることを目的とし、昨年11月から全8回のシリーズ企画として実施。
これまで、専門僧堂と呼ばれる国内の修行寺7カ所と總持寺をつなぎ開催し、今回が集大成となった。
被災地の總持寺祖院も参加
メイン会場となった千畳敷と呼ばれる總持寺大祖堂には、鶴見区内外から645人が参加。堂内に設置された大型スクリーンで国内7カ所、世界4カ所と中継をつなぎ、各寺院に集まる人たちの様子を映し出した。
参加寺院には、總持寺の発祥地として、昨年11月に同企画第一回目の会場となった石川県輪島市の總持寺祖院もあり、高島弘成老師が被害の状況を報告。
前回2007年の能登半島地震からようやく復興したばかりだった回廊が倒壊した様子や、180度回転した石碑なども映され、「先日水道が戻ったばかり。今もまだ坐禅することができない」と被災地の現状を伝えた。
国内外と中継むすぶ
中継ではそのほか、これまで企画が行われてきた福井県「大本山永平寺」、北海道「定光寺」、岩手県「正法寺」、愛知県「正法寺愛知専門尼僧堂」、岡山県「洞松寺」、福岡県「安國寺」とつなぎ、11カ国の外国人僧侶や尼僧と呼ばれる女性の僧侶専門という各寺院の特徴を紹介した。
海外寺院との中継では、ハワイ州ホノルルから「両大本山布哇別院正法寺」、カリフォルニア州ロサンゼルスから「両大本山北米別院禅宗寺」、パラグアイから「拓恩寺」、オランダから「禅川寺」の4カ寺が登場。
總持寺が14時ごろだったのに対し、深夜から早朝という現地時間を伝え、会場に世界とつながっていることを実感させた。
世界同時に坐禅 静寂の40分
坐禅のパートでは、總持寺で参禅室室長を務める花和浩明老師が坐禅の方法を伝授。坐蒲と呼ばれる坐禅用の座布団への座り方から、手や足の組み方などが解説された。
参加者は一連の流れを学んだあと、坐禅にチャレンジ。3度の鐘の音を合図に、集まった世界の1,200人が一斉に呼吸を整え、約40分間の静寂の時を過ごした。
ゲストらが「坐禅」語るトークセッションも
同時坐禅後には、總持寺会場でスペシャルゲストを招いた「禅Talk」が行われ、脳生理学者の有田秀穂さん、元サッカー日本代表の中澤佑二さん、ディジュリドゥ奏者で画家のGOMAさんらが登壇。
坐禅にも参加したゲストらが、それぞれの立場から「坐禅」の魅力などについて語った。
有田さんは坐禅の呼吸法とアスリートなどに発現する「ゾーン」と呼ばれる精神状態の関係について語り、「坐禅の呼吸法が脳や心に影響を与える」と持論を展開。
中澤さんは「トレーニングに呼吸を取り入れている選手もいる。自分も今後の生活で取り組みたい」と話した。
大本山總持寺大遠忌局の亀野元彰教化出版課長は企画の集大成を迎え、「初めての方にも坐禅を体験してほしいという気持ちで実施してきた。これを機会に続けてくれる人が増えるといい」と話した。