ごみ削減のために不用品に価値を与える「アップサイクル」を広めたい―

 馬場小学校6年3組の児童31人が、総合的な学習で一年間学んできた「アップサイクル」を広めようと、3月に入った卒業直前まで、校内での啓発など取組に励んでいる。

 学習の柱となったペットボトルキャップから製作した箸置きやキーホルダーの販売は、先ごろ無事終了。売上金は能登半島地震の被災地に寄付した。

調査し学びを深める中でたどり着いたアップサイクル

地球のためにできることを探求

 アップサイクルは、廃棄品や不用品に新たな価値を与えて再生させることを指す。

 同クラスによる「6年3組アップサイクルプロジェクト」と題した取組は、児童が主体となり、校内や地域、社会の課題を見つけ、その解決策などを探る総合的な学習の時間で進めてきたもの。

 児童たちによると、年度当初のテーマ決めのなかで、「地球のために自分たちでできること」を考えた結果、ごみ削減にたどり着いたのがきっかけだったという。

 児童の一人は「資源として再生させるリサイクル、元の素材を生かして作り替えるリメイクなどを学ぶなかで、価値が高まる方がいいとアップサイクルになった」と説明。

 リサイクルやリメイクよりも、社会に言葉が浸透していないことにも着目し、啓発も含めてプロジェクトがスタートした。

一年間、アップサイクルに取り組んだ6年3組の児童たち(写真右端は児童たちを見守った担任の宮野貴雄教諭)

専門家に学び 5種類を考案

 ごみ削減を目指し、不用品から商品づくりにチャレンジした児童たち。

 製作にあたっては、市内でアップサイクルに取り組む事業者を探し、リサイクル事業などを展開する武松商事(株)運営の「くるり工房」=金沢区=に協力を依頼。

 講師として招き、傘からクリアファイルを作るなど、アップサイクルの方法を学んだ。

 実際の商品化に向けて児童たちは、グループにわかれてアイデアを出し合い、箸置き、スマートフォンスタンド、ペットボトル貯金箱、砂時計、紙袋のポーチを考案。

 昨年10月ごろ、くるり工房へプレゼンテーションを行い、箸置きに決定したという。

起死回生の「レジン」 商品24個を販売

 材料としたのは、各家庭から持ち寄ったペットボトルのキャップ。細かく裁断してアイロンで溶かしたあと、手作りアクセサリーなどに使用される樹脂「レジン」を加えて成形した。

 10月以降、商品化を目指すも、「11月になってレジンが見つかるまでは苦労した」と児童が話す通り、アイロンで溶かすだけでは製品にならず、「実は諦める寸前だった」と明かす。

 今年2月からの販売後も話し合いを続け、誰もが買いやすいものとしてキーホルダーも製作。およそ1カ月の販売期間で全29個中24個が売れ、1,850円の売上があったという。

クラスに掲げられた卒業までの工程表。ギリギリまで活動を続けている

最後まで啓発に汗

 卒業までの期間、全校集会の校内放送で活動報告を行うなど、最後まで啓発に努めた6年3組の児童たち。

 「自分たちが作ったものが売れたことは嬉しかった」と笑顔を見せたうえ、「資源を大切にするために、アップサイクルは広めた方がいい。大人になっても何をやれるか考え、周りに勉強したことを伝えていきたい」と話した。


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