被害のなくならない振り込め詐欺などの特殊詐欺犯罪を抑止しようと、鶴見警察署と区内コンビニエンスストアによる緊急会議が9月7日、鶴見中央地域ケアプラザで開かれた。

 会議には区内コンビニエンスストアからオーナーら24人が出席。鶴見警察署管内の被害状況や、事例共有などが行われた。

件数マイナスも被害額は1千万円増

 鶴見警察署管内の振り込め詐欺等の特殊詐欺発生件数は、今年1月1日から8月末までの暫定値で39件。昨年同期比でマイナス3件となっているものの、被害総額は1億889万9430円と大台を越え、昨年同期比で約1000万円増となっている。

 手口としては、息子や孫などの親族を装ういわゆる「オレオレ詐欺」が15件、警察官や行政職員などをかたる「預貯金詐欺」、医療費の還付などを名目にだます「還付金詐欺」が10件と、さまざまな手口で被害が拡大している状況だ。

 鶴見警察署によると、「勉強代や、誰かに知られるのが嫌といった理由で届け出を出さない人もいるので、実際はもっと多い」という。

「一件でも減らすため」と協力を呼びかけた飯塚署長

「一件でも減らす」“最後の砦”と連携

 緊急会議は、被害の現場となりやすい無人のATMがあるコンビニエンスストアの防犯強化などを目的に、鶴見警察署が声をかけて実現。昨年に続く2回目の開催となった。

 自ら現状などについて説明した飯塚博史署長は「コンビニのATMが増えている。ほとんどがスマートフォンを片手に話しながら操作している」と被害の状況を指摘。「コンビニが最後の砦。一件でも減らせるように連携して取り組みたい。勇気を出して一声かけてほしい」と熱心に呼びかけた。

電話でのやり取りや、コンビニ店頭の様子を演じたジーバー劇団。笑いを交え、おもしろおかしく啓発した

防犯寸劇で啓発 実際と酷似の事例も

 当日はさらに、鶴見区内の高齢者施設などで防犯寸劇を通して啓発活動を行う区民団体「お笑いジーバー劇団」が寸劇を披露。

 パソコンがウイルスにおかされたとサポートセンターに連絡すると、有料としてコンビニエンスストアで高額の電子マネーを購入させられるシーンを演じ、注意を促していた。

 また、昨年の会議で寸劇を見た数日後に、店舗でまったく同じ状況に遭遇したとして、セブン-イレブン横浜生麦4丁目店のオーナー・橋元伸さんが事例を共有する場面も。

 「寸劇が頭に残っていた。電話を切らせず、未然に防ぐことができた」と振り返りつつも、「実際声がけは難しい。10回声かけて1回聞いてもらえるかどうか。逆ギレされたり、無視されたりもたくさんある」と現場の本音を吐露。

 そのうえで「それでも、ガードが固い店だという店内の雰囲気を出して環境を作れれば、未然に防いでいけるのではないか」と提案した。

 特殊詐欺など刑法犯を扱う鶴見警察署生活安全課の梶原裕貴課長は「最近は20代の被害も増えている。連携して撲滅できれば」と話した。


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