今年で創業70周年を迎えた東宝タクシー株式会社(本社=横浜市鶴見区鶴見中央2−6−27/大野慶太代表取締役社長)が6月26日と27日、同本社で創立70周年記念永年勤続表彰式を開き、永年にわたり会社を支えてきた乗務員や従業員の活躍を称えた。

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 東宝タクシーは、1953年3月10日、先々代の大野明氏が現在の地で創業。車両10台でのスタートだった。

 「東宝」の由来は、創業の際、東宝映画・渡辺銕蔵元社長を発起人に迎えたことによるという。

 その後、1966年には先代の大野清一氏が社長に就任。日野交通やひばり交通などと共同組合を結成し、鶴見区内で無線タクシーを開始するなど近代・合理化に着手した。

健全な労使などが重要と話した現相談役・大野清一氏

時代のニーズとらえ拡大

 98年にはバリアフリー対策として、介護用のハンディキャブ車を導入。横浜身体障害者連合会との業務を始め、2009年には妊婦などのための子育てタクシー、12年には誰もが使いやすいユニバーサルデザインタクシーの運行をスタートさせるなど、時代の移り変わりとともに社会ニーズをとらえ、業務を拡大してきた。

 表彰式当日、「自分は東宝タクシーの運転手さんに育てられたと入社してわかった。支えてくれた従業員に恩返ししたいと思った」と振り返った大野慶太社長は、2013年の社長就任以降、健康経営などにも力を入れ、同社は16年に横浜市健康経営認証AA、19年には同AAAを取得している。

 現在の従業員数は約150人。子育て支援タクシー認定ドライバー、ケア輸送士、ヘルパー2級、ユニバーサルドライバーなどの資格保有者が在籍している。

従業員への謝意を示した大野慶太社長

勤続5年以降の83人を表彰

 今回、表彰されたのは、勤続5年以降の乗務員、非乗務員、パート従業員ら83人。

 最長は、東宝タクシー一筋で乗務員歴50年を迎えた大塚秋男さん(79)だった。

 業務の都合も考慮し、2日間にわけて実施された表彰式では、大野社長が乗務員らに表彰状を授与。永年にわたる功績が労われた。

 大野社長は「一つの会社に長く在籍するということは、仕事への愛情、会社への信頼がベースにないとできない。タクシーは形に残る仕事ではないが、一人ひとりのお客様を安全・安心に目的地に送った積み重ねで今がある」とあいさつ。

 未来は不安定だとしながら、「成長時代ではない今こそ、経営理念に立ち戻ることが大事。単に送迎だけでなく、地元に根ざして地域に貢献していければ」と話した。

勤続50年の大塚さん

 29歳のときに入社し、50年にわたり活躍している大塚さんは、「かつては京浜工場地帯に送ることが多かった」と振り返りつつ、「体調不良で2、3日休んだ以外は、毎日のように洗車している。お客さんとの交流は楽しい。もう少し会社に尽くしていきたい」と笑った。

 勤続24年で表彰され、乗務員代表で謝辞を述べた松永進さんは「野球部に20年在籍できたのが思い出」とし、「たくさんの先輩、仲間に恵まれてここまでできた。無事故、売上向上を目指して、一層励んでいく」と感謝とともに決意を語った。


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