次々起こる被害に対応 鶴見土木事務所と横浜建設業協会鶴見区会 ブラインドで合同震災対策訓練
シナリオ伏せ、連絡手段はLINEのみ
鶴見土木事務所(相場崇所長)と一般社団法人横浜建設業協会鶴見区会(隅田賢一区会長)が11月10日、合同の震災対策訓練を行った。
両者による合同訓練は、横浜市と横浜建設業協会などが結ぶ、災害時における緊急巡回および応急措置等に関する協定に基づくもの。
年に一度、全市で各区の土木事務所と各区会が合同で実施している。
今年は、訓練の流れとなるシナリオを伏せるブラインド型の訓練を初めて企画。より実践に近い形でそれぞれの動きや連携方法など、特にLINEを使用した情報の受伝達を中心に確認した。
鶴見区内の緊急輸送路は計20路線
協定により連携して巡回、点検するのは、災害発生後から緊急車両や物資運搬などに使用する緊急輸送路。
鶴見区内には高速道路や幹線道路など広域の交通ネットワークを構成する第一次路線が12路線、一次路線を補完し、相互に連絡する路線となる第二次路線が5路線、土木事務所所長選定路線が3路線の計20路線が指定されている。
横浜建設業協会鶴見区会は、各路線の巡回のため、会員企業23社を3班にわけて有事に備えている。
都度の判断で対応、緊迫感ある災害訓練に
当日は、鶴見土木事務所から職員約10人、同協会鶴見区会から約25人が参加。土木事務所を本部とし、横浜市道路局とも情報を共有した。
訓練の想定は相模湾を震源にしたM8.1、最大震度7の地震。電話はつながらず、連絡手段はLINEのみということだけ伝えられた。
9時にスタート後、最初の被害報告は末吉橋で、工事用クレーンが横転し仮設の橋を塞いだというもの。
実際に巡回中の鶴見区会の担当班が現場へ向かい、現地の様子を写真で撮影しLINEで共有。2カ所目の被災箇所とした岸谷生麦線のトンネルでも、同様に現地確認と情報の受伝達を確認した。
土木事務所では現地での対応も検討され、通行止めに使うための資機材の受け渡しなども実践。鶴見区会側も、少ない人手で効率よく巡回するため、事務所の待機組を現場に向かわせるなど工夫しながら訓練を進めた。
課題山積も、実践に近く充実
事務所待機から現場に向かった班の担当者は、初のブラインド訓練に戸惑いながらも「班ごとにLINEグループを作るなど、混乱しないようにしないといけない」などと動きつつ課題も実感。「練習でこんなにバタバタしていたら本番はもっとパニックだ。やってよかった」と話した。
訓練を終えた土木事務所は、情報受伝達ツールの使い方、被災箇所住所の正確な把握、寄せられた情報をどのように事務所内で表示すべきかといった課題を挙げた。
また、総括では「実際には土木事務所に参集も困難な状況が想定される。そのときにどう対応するのか」「多くの情報が同時に寄せられた場合の処理はどうするか」といった問題点も指摘された。
今後も連携継続で鶴見区の安全に寄与誓う
横浜建設業協会鶴見区会の隅田区会長は、昨年まではシナリオをもらっての訓練だったことに触れ、「実際に即し、緊張感があり、改善すべき点の気づきもあった。本番に備え、身になるように継続していきたい」と振り返った。
相場所長は「すべての道路を守るという使命は、土木事務所だけでは難しい。本番の想定ができる訓練となった。これからも鶴見区会さんと連携していければ」とした。