医療優先度決める訓練

 災害や事故発生時、多数の傷病者が発生した際に重症度などから治療の優先順位を決めるトリアージを学ぶ、「鶴見区災害対策トリアージ講演会」が2月18日、鶴見医師歯科医師会館=鶴見中央=で行われた。

 講演会は区内の医師や歯科医師から成る鶴見医師歯科医師会が主催。昨年7月に続く2回目となる。

 災害時などは医療資源が限られ、地域の医師や歯科医師らもトリアージの対応を余儀なくされる可能性があることなどから企画された。今回は医療従事者を対象とした昨夏から参加者を拡大。地域防災拠点の運営者らに呼びかけ、区民含む50人以上が参加した。

救急医療教授に学ぶSTART法

 当日は、救命救急士として活動し、日本体育大学保健医療学部救急医療学科で教える鈴木健介教授を講師に迎え、START法と呼ばれるチャート型のトリアージ法について学習した。

 START法はSimple、Triage、And、Rapid、Treatmentの頭文字をとったもので、一人あたり30秒以内にトリアージを行い、必要に応じて何度も繰り返すという手法。

 鈴木教授によると、医療従事者だけでなく、一般の人にも導入しやすい方法だという。

呼吸のはかり方、脈のとり方などを解説する鈴木教授

呼吸や脈、瞬時に判断を体験

 実践の場面では、参加者が2人1組で「呼吸はあるか?」「呼吸回数は?」「脈は?」といった状況を秒単位の短い時間で判断。鈴木教授は「迷ったら悪い方でとらえて、あとでもう一度やればいい」「呼吸の有無など、判断できるならどんな形でもOK」などとし、「服装などその場の状況で難しい場合もあるが、質よりスピードが重要」とアドバイスした。

「できる人がやる」 〝共通言語〟の重要性

 さらに、「トリアージタッグをつけるのは医療従事者でなくてもいい」としたうえ、「できる人がやるしかない。その中で、『呼吸はあるから赤だと思う』『緑は歩ける人』といったように、共通言語があることが大切」と鈴木教授。

 混乱する災害や事故現場で、円滑に医療者と連携するためにトリアージ法を学ぶことは重要と訴えた。

2人1組で行われたトリアージの実践場面

「拠点でも必要」と実感の声

 参加者はさまざまな重症度の判断を体験。実際のトリアージタッグへの記入や取り付けまで、一連の流れを学んだ。参加した矢向地区連合会の渡邊浩会長は「本当に貴重な体験だった。一般の人も必要と感じた。拠点の訓練などにも取り入れられるように検討したい」と話した。

 鶴見医師歯科医師会の徳岡敏一理事は「災害時はいかに効率のいい伝言ゲームをするかが重要。そのためにも日頃からの顔の見える関係が必要と考え、今回は地域防災拠点の皆様にも参加頂いた。これを機に密接な関係を作り、連携していければ」とした。


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