お笑いジーバー劇団による啓発劇を見る参加者

犯人、被害者ともタクシー利用多く

 歯止めがかからない振り込め詐欺などの被害を踏まえ、タクシー会社や運転手を対象とした特殊詐欺撲滅対策臨時会議が10月14日に行われた。

 臨時会議は鶴見警察署と鶴見区管内のタクシー会社によるもの。詐欺の犯人、被害者とも、タクシーを利用することが多いことから、今回、臨時の研修会が企画された。

 今年はこれまで、鶴見区内の金融機関、コンビニエンスストアとも連携して同様の会議を実施しているという。

被害額1億円突破 昨年比倍の緊急事態

 鶴見署によると、同署管内の今年1月から9月までの特殊詐欺被害状況は、発生53件、被害額は約1億1250万円で神奈川県内54署中、5番目の多さ。

 全国的に増加傾向というが、鶴見署管内では昨年同期比で23件増、被害額は倍以上となる約6,350万円増と、拡大の一途をたどっている。

 当日はタクシー会社7社から社員や運転手ら約30人が参加。鶴見警察署の片山真署長が自ら講師を務め、今年の被害状況や、タクシーが使われた事例などを解説した。

 タクシーを利用する犯人の特徴として、「現金払いでレシートを受け取る」「ルートを指定しない」「地名の読み方を間違えることもある」などを挙げ、被害者が利用する場合には、行き先に「無人ATM」「コンビニエンスストア」といった場所を指定することが多いとした。

 また、以前は若い男が多く、スーツが似合わないといった特徴もあったが、今は年配の男性や女性などのケースもあると紹介。一方で被害に遭う側は、「普通の人ばかり」と話した。

参加者に事例などを解説する片山署長

啓発劇で防犯意識高める

 会議後半には、防犯寸劇などで啓発活動に協力しているボランティア団体・お笑いジーバー劇団が登場。

 孫を装った犯人役から「給付金を使い込んだ」という電話を受けた高齢女性が、移動の際にタクシーの運転手と会話したことで詐欺を未然に防ぐという啓発劇を披露した。

 「『電話が長い』『区役所や警察からの電話と話す』など、あやしい状況があれば声かけや通報を」と片山署長。

 鶴見中央のタクシー会社・東宝タクシーの大野慶太社長は「毎月のように全国各地で運転手が詐欺被害を防いだというニュースを耳にする。今日の各社、ドライバーさんに伝達を」と参加者らに呼びかけた。

 今年の特殊詐欺被害状況は以下のとおり。


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