豊岡小学校児童 体験者に学ぶ災害 地元復興に尽力する輪島市「もとやスーパー」とオンラインで結び授業
鶴見中央地域ケアプラザが仲介
豊岡小学校5年2組で1月24日、昨年震災や豪雨被害のあった石川県輪島市町野町でスーパーを営む本谷一知氏をオンラインゲストに招き、災害時に自分たちができることなどについて学ぶ授業があった。
授業は、児童たちが自分たちで考えたテーマをもとに探求する総合学習の時間で行われたもの。
今年度、児童たちは防災と防犯をテーマに学習を進めており、これまで防災では、豊岡地区連合会の木佐美信行会長に地域の災害対応などについて話を聞くなど、学びを深めてきた。
そんな中、能登半島地震発生以降、現地の避難所などでボランティア経験のあった鶴見中央地域ケアプラザの石川尚樹さんとつながり、石川さんが被災地で面識のあった本谷さんによるオンライン授業が実現した。
ボランティア体験を紹介
授業では初めに、昨年5月と10月に、現地で2度の長期ボランティアに携わった石川さんが体験を紹介。
避難所での生活の様子などを語り、「周りへの気配りが必要。人を思いやることの大切さを感じた」としたうえ、「みんなの力はすごい。元気に楽しんでいると大人も元気が出る」と子どもたちができることを伝えた。
二重災害の現地語る
続いて現地からのオンラインで体験談を語った本谷さんは、震災以降、町唯一のスーパーなどとして復興の様子がたびたび報道された「もとやスーパー」を運営している。
地震発生直後、「外に出た時に景色が変わっていて、震度7のあとに震度5が10回あった」と状況を解説。トイレも食べ物も水もない状態が1カ月続いたとし、「石油ストーブで雪を溶かして水を流した」などと振り返った。
また、「スーパーは人がいないと物が売れない。戻ってくる人がいて、そろそろと思っていた時に豪雨があった」と説明。店内の壁に残る2mほどの高さの水の跡を映し、「新しく作っても流される恐怖と闘いながら営業している」と話した。
SNSや通信の活用法伝授
話のなかで本谷さんは、震災発生時に最初の30分だけ通信がつながっていた体験を話し、「通信機器を持っていたら、とにかく生きていると伝えて」とアドバイス。
水害の際はその教訓を生かし、店内に水や土砂が流れている様子などを撮影した映像をすぐにSNSで発信したとし、その映像が報道されたことで、全国から1カ月で1,000人がボランティアに訪れたエピソードを披露。
再開にあたっては、ディスカウント大手のドン・キホーテなどによる什器類の寄付などがあったとし、「全国からのやさしさでオープンできた。支援を循環させないといけないと感じている」と語った。
「自分たちができること」考える
その後児童たちは、2人の講演を聞いたうえで「自分たちができること」を班ごとに議論。
「年下の子どもと遊ぶ」「高齢者にスマートフォンの使い方を教える」「炊き出しの手伝い」「迷惑にならないように自分たちで考える」などといった意見があがり、本谷さんが「言ってくれたこと全部助かる」と実体験をもとに太鼓判を押す場面もあった。
災害対策など、オリジナル劇に
当日は、「最初はなぜ0円で提供したのか?」「どうしてもう一度再開したのか?」といった質問も相次ぎ、本谷さんは一つずつ丁寧に回答。
「日常と違う状況になったら、人としてどう動くべきかを考える。できることを考え、無料の判断をした」「再開にあたり全国からやさしさをもらった。それに応えるため、違う場所ではやりたくなかった」などと答えた。
話を聞いた児童たちは「能登の復興に日本中から協力があったことを知り、心があたたかくなった」「災害で絶望したり、嫌な気持ちになるのを切り替えて、復興に向けてがんばっている本谷さんや石川県の人はすごいと思った」などとコメント。
今後は、「オリジナルの劇を作り、防災について周囲に伝えていく」と意気込みを語った。