【活動報告】能登半島地震の被災地・石川県輪島市視察レポート(神奈川県議会議員 川崎修平)
※この記事は2024年4月8日に作成されたものです。
3月中旬。令和6年能登半島地震で被災した石川県輪島市に視察へ行ってまいりました。
今回の視察は自民党や神奈川県議会の活動とは関係なく、川崎修平個人で、「被災地の現状と課題を調査すること」を目的に、旧知の仲である石川県庁職員や地元県議を頼りながら実現することが出来ました。
私が訪れた輪島市は、元日に最大震度7の揺れに襲われ、106人が亡くなり(うち災害関連死3名)、今も行方不明者は「確認中」のまま。全半壊など住宅被害は1万棟を超えた地域です。200以上の露店が並ぶ朝市通りが地震後の火災で5万800平方メートルを焼失した映像を報道番組等でご覧になった方も多いかもしれません。
今回は、東京駅から新幹線で金沢駅まで行き、車で3時間ほどかけて能登半島を北上するルートでしたが、輪島市までの道中も家屋の倒壊や、道路の陥没・隆起・ひび割れ、土砂崩れなど至る所が被災しており、改めて自然災害の恐ろしさを実感しました。
今回の活動レポートでは、現地で直接見聞きしてきたリアルな情報をもとに、私たちが災害に備えてすべきこと、出来ることをお伝えしてまりいます。
◆「まさか元日にこんな巨大地震が起こるとは……」
金沢に到着してまず青年局中央常任委員会時代にお世話になった石川県議会議員の不破大仁先生のもとを訪れ、石川県の現状や被災して分かった課題などを伺ってきました。
不破先生は開口一番、「勿論、石川県も災害対策は進めてきましたが、まさか元日にここまで大きな地震が起こるとは思っていませんでした」と言い、被災直後の混乱ぶりを話して下さいました。
「地震が発生してすぐ、X(旧Twitter)上で他国や東日本大震災の際の津波映像、生き埋めの報告が出回り、情報が錯綜したんです。私のところにも後援会の人を通じて『××で人が生き埋めになってるらしいから助けてやって欲しい』と連絡が来ましたが、調べてみると全くのデマでした」。
そこで、不破先生たちは自民党の石川県連に本部を置き、各政党が協力して議員に届いた情報を集約させながら、重複や誤情報を取り除き、県庁に報告するといった事を行ったと言います。「SNSを通じて助けを求めることが悪いのではありません。ただ、今回は、少数の悪意が大勢の善意によって拡散されてしまうケースが目立ったのも事実です。それでは助かる命も助からないので、SNSで発信する際は、本当に正しい情報なのか冷静に見極めて欲しいです」。
◆被災者が直面した「トイレ」の重要性
また、今回の能登半島地震では多くの地域で「断水」が被災者を苦しめました。被災地で水道管が破損し、断水してしまうと、飲み水やお風呂が確保出来ないだけでなく、トイレが流せないという問題に直面します。実際、震災直後から避難所のトイレが不衛生で使いづらいというニュースが様々なメディアで取り上げられていましたが、不破先生も「水や食料の備蓄をしている人は結構いたのですが、実は『人から出るものの処理』が一番大変なんです」と、直後の苦労を話されていました。
私も輪島市を訪れた際に幾つか見て廻りましたが、便器の中に排泄物とトイレットペーパーが残った、臭いの酷い公衆トイレが今でも手付かずのまま放置されていました。災害が起こると、在宅避難をしている方が避難所の仮設トイレを利用する為に列を作ることもありますが、不特定多数が使うトイレはどうしても臭いや汚れが気になります。その為、今回の能登半島地震でも水分補給や食事を我慢して体調を崩してしまう方も多くいたようでした。
「備蓄において無駄という考えはなくした方がいいです。是非、簡易トイレを備蓄するよう神奈川県の方にも周知徹底して下さい」(不破県議)。
◆一番に確認すべきは自宅の耐震構造
金沢から車で3時間ほどかけて輪島市を訪れると、そこには被災当日のまま時間が止まっているかのような悲惨な光景が広がっていました。火災で200棟以上が焼けた観光名所の「朝市通り」は報道を見て想像していた規模よりも遥かに広範囲で、火災を免れた地帯も軒並み崩壊している状態で復旧・復興の準備段階にすら至っていません。
しかし、市街地を歩いていると同行してくれた石川県庁の職員の方がある事実を教えて下さいました。「あれを見て下さい。古い木造の家屋は倒壊してるんですが、耐震基準を満たしている比較的新しい家屋は倒壊を免れたんです」。見渡してみると、確かにその差は一目瞭然で、同じ区画内でも古い家屋が軒並み倒壊しているのに対し、新しい家屋はそのままの姿を保っていました。 「今回の地震では瓦屋根が崩壊するという事例も多くありました。家の中で倒れてきそうな物を固定することも勿論大事ですが、家自体の耐震構造を今一度確認することが有事の際の安否を大きく左右すると言えます」(県庁職員)。
◆意外と盲点⁉ 今すぐ保険の確認を!
いま、被災地では保険に関する問題が浮き彫りとなっています。それは液状化(地震が発生した際に地盤が液体状になる現象のこと)にまで意識を向けていなかった人が多くいることです。
今回の能登半島地震は津波、火災、地震、液状化などが発生した複合災害でした。しかし、地震保険には加入していても、家自体に損壊がなければお金が入って来ない契約をしている人が一定数いて、家屋に損壊がなくても、液状化によって住めない、売れないという住居が多く発生しているそうです(補償される地震保険もアリ)。
横浜市も液状化の危険度を判定した「液状化マップ」を公開しています。是非、加入している保険と合わせて確認をしてみてください。
◆視察を終えて(2024年7月17日追記)
今回の被災地視察は地震発生から2ヵ月半ほど経過していましたが、物資輸送用の道路が整備されている以外はほぼ被災当時のままでした。恐らく、完全に復旧・復興するまでには長い年月が必要であると思います。そのような中でも、現地の方々は私の問い掛けに嫌な顔一つせず「もう誰もこんな辛い思いをして欲しくないから」と、自らの体験を託すようにお話をして下さり、胸が熱くなりました。
自然災害は時間や気象状況など人間の都合に関係なく襲ってきます。であるからこそ、「自分の街は大丈夫」だと決して思わず、平時の時から準備をし、有事の際は「まさか」ではなく「やはり」と思って冷静に行動することが求められます。
私もこの度、神奈川県防災警察常任委員会の委員長を拝命し、これまで以上に県への提言が出来る立場となりました。今回の視察で得た経験を活かしながら、引き続き防災・減災活動を続けてまいりますので、変わらぬご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
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