メダルをかけ、トロフィーをかかげる塩田さん

 JR鶴見駅西口そばのスペイン料理店・PEKOPEKOのオーナーシェフ・塩田寛樹さんが5月28日、NPO法人全日本パエリア連盟-PaellaMania-主催「PaellaSummit2023」内で行われたスエカ国際パエリャコンクール日本代表選考大会に出場し、優勝に輝いた。

 塩田さんは日本代表として、9月10日にスペイン・バレンシアで開かれる第62回スエカ国際パエリアコンクール世界都市選手権への出場権を獲得。「まさか優勝できるとは」と驚きつつ、「残りの期間、しっかり練習して本番に臨みたい」と意気込んでいる。

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 パエリアは、円形の鍋に米とさまざまな食材を入れ、一緒に炊き上げるスペイン料理。

 魚介類のイメージが強いが、海のない発祥の地・バレンシアでは、肉や豆を使うのが伝統的とされるという。

 全日本パエリア連盟によるコンクールは、バレンシアの郷土料理として、その出来栄えを競うもの。

 国際コンクールにつながる代表選考大会として実施されている。

大会時の調理の様子。薪火の使用などすべて同一条件で行われる(写真は提供)

同一条件下、全国12チームが競う

 用意される食材、野外で薪火の使用など、調理環境はすべて同一という条件下において、味や焦げといったパエリアの完成度で勝負する大会。

 今回も全国各地からパエリア職人たちが集まり、12チームで頂点を争った。

 後輩料理人とのペアで挑んだ塩田さん。初出場となった当日を振り返り、「正直、出来は70点ほどだった」と話す。

 下味をつける順番や、焦げがつくタイミングなど、「ポイントで失敗があった」としたが、「もともと初挑戦。失敗してもいいという気持ちだった」とチャレンジ精神を発揮。

 後輩料理人との息のあった調理で柔軟に対応しながらパエリアを仕上げた。

完成したパエリアを審査員に運ぶ塩田さん(写真は提供)

仲間たちの応援力に

 大会出場にあたり塩田さんは、これまでの優勝者の「味」も研究。

 「強豪店のおいしいパエリアのイメージは頭にあったが、自分自身はまだまだ経験が浅い。ダメ元でいいから違う角度で作ってみようと決めていた」と、本番に臨んだときの気持ちを明かした。

 使用しづらい薪火の環境について、さまざまな形で協力を得ていたという塩田さん。

 練習時は30人前にもなるというパエリアを無駄にしないようにと、応援として同級生らが駆けつけてくれていたとし、「20年ぶりに仲間に会ったり、過程も含めて楽しかった。協力してくれた皆さんに感謝したい」と話した。

表彰式の様子。せめて3位入賞と思っていたところ、「3位が違うチームで諦めていた」と塩田さんは笑った(写真は提供)

「独自の味」求めチャレンジ

 本場スペイン・バレンシアのスエカで行われる国際大会は9月10日に開催予定。今度は日本代表として、世界各国の猛者たちと対峙する。

 塩田さんは「大会は材料などその時々で、日本大会よりシビアだと聞いている」としたうえで、「今回の出来上がりを試食したとき、たしかに自分でもオリジナリティのある味になっていると思った。残りの期間でしっかり自分のものにしていきたい」と意気込みを語った。

店に飾られているトロフィー。店内では薪火が使えないため、正真正銘の優勝パエリアは店での提供が難しく、「色々と検討中」とのことだ


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