毎年4月29日、鶴見神社の境内に舞台を設置して行われる鶴見の田祭り(写真は過去の様子=提供)

鶴見田祭り保存会「参加できてよかった」

 鶴見神社(金子剛士宮司)に鎌倉時代から伝わる民俗芸能「田祭り」を守る鶴見田祭り保存会が、10月8日、山口県山口市で開催された「日本の祭りinやまぐち2022」に出席し、昨年度受賞した地域伝統芸能大賞・地域振興賞の賞状と記念メダルを授与された。

 コロナで中止となった昨年の授賞式から2年越しとなる舞台に、関係者らは「参加できてよかった」と感慨もひとしおだった。

稲作の所作演じる伝統芸能 途絶から復活の歴史も

 鶴見の田祭りは、五穀豊穣を願う民俗芸能。神壽歌(かみほぎうた)という歌に合わせ、春の鍬入れから秋の収穫までの所作を演じ、豊作を祈願する。

 鶴見神社での歴史は古く、鎌倉時代から伝わるものだったが、1871年(明治4)に国の命令により一度途絶。

 1986年(昭和61)、前宮司の故・金子元重氏を中心に、鶴見歴史の会や有志らが協力して復活。以降、毎年4月29日に実施されてきた。

 2017年には、地域の伝統芸能などに贈られる第37回伝統文化ポーラ賞で地域賞を受賞。横浜市登録地域無形民俗文化財にも指定を受けている。

一般財団法人地域伝統芸能活用センターの中村徹会長から賞状を受ける池田昇会長(右、提供写真)

最後の大会で貢献に栄誉 継承への気持ち新たに

 鶴見田祭り保存会は、氏子ら地域有志らで組織。2020年のみ中止としたが、コロナ禍でも火を消さないようにと、演者のみで実施するなど継続。今年で再興35年となった。

 地域伝統芸能大賞は、地域に残る伝統芸能を通じて、観光振興や魅力向上などに貢献した個人や団体に贈られるもの。一般財団法人地域伝統芸能活用センターが主催している。

 鶴見田祭り保存会は昨年、地域振興賞を受賞。演技も予定していたが、鹿児島県で開催予定だった授賞式がコロナで中止となっていた。

 受賞団体には、今年度の大会会場での受賞、または郵送での賞状とメダル授与の二者択一が示され、保存会は今年度会場での受け取りを希望。

 8日、山口市であった記念式典に、池田昇会長、遠藤一郎副会長ら17人が出席し、名誉総裁の高円宮妃殿下からメダルを授与された。

 大会は1992年(平成4)から全国各地で行われてきたが、30回目となる今年度で終了となる。

 同保存会は、「厳粛で荘厳、あたたかな心が通い合う表彰式だった。一同、改めて鶴見の田祭りを誇らしく思う」と今後の継承への気持ちを新たにしつつ、「紹介はできなかったが、参加してよかった」と感動の声をあげていた。

高円宮妃殿下からメダルを授与された(提供写真)


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