発災時の動き、連携を確認 東部病院で災害医療訓練 一つのシナリオに複数機関参加
鶴見区災害医療連絡会議と協力
済生会横浜市東部病院=下末吉=で先ごろ、地震発生を想定した災害医療訓練が行われ、院内外での連携など、有事の動きを確認した。
訓練は、神奈川県の災害拠点病院に指定されている東部病院が、開院した2007年から実施しているもの。
鶴見区医師会や同歯科医師会、鶴見薬剤師会といった三師会、地域の汐田総合病院、佐々木病院などの病院のほか、鶴見区役所などから成る「鶴見区災害医療連絡会議」と協力し、複数会場で訓練を行う大規模なものとなっている。
震度6強、負傷者や患者数など細かく設定
当日は都心南部直下地震により横浜市東部でも震度6強が発生したという想定のもと、鶴見区内に多数の負傷者、入院中や救急外来患者、コロナ感染者などの人数も設定するなど、シナリオを統一して訓練に臨んだ。
模擬患者含め300人規模
訓練には、医師や看護師、事務スタッフなど職員235人と、模擬患者約50人が参加。
院内の数カ所を会場とし、災害対策本部立ち上げ、傷病者受け入れ、手術患者対応といった実働訓練を同時に展開した。
院内への指示や外部への伝達が中心となる災害対策本部では、院内外の情報を収集し、時系列にまとめる作業などを実践。
地震の影響で電気が使えず、アナログに書き出す状況のなか、収集した情報が一元化されないなど、課題が浮き彫りになる場面もあった。
患者、資源を“トリアージ”して対応
一方、「災害時に大量傷病者が来院したらどう対応するか」をテーマにした多数傷病者対応訓練では、救急出入口に搬送先をわけるためのトリアージエリアを設置。
実際に年齢や怪我の程度など、設定された役に徹した模擬患者が同時に来院するなか、医師や看護師らが色分けしたトリアージタグを取り付け、重症度別にわかれた搬送エリアに運んだ。
各エリアを取りまとめる診療班の本部では、手術室や担当医の空き状況など、限られた医療資源の情報を管理しながら受け入れ体制を整える姿も見られた。
アナログ対応に課題も、「経験が大切」
訓練を終えた同院は「電子化が普及した現代で、『電気が使えない』『システムが使えない』といった状況になったとき、アナログへの切り替えに戸惑う職員が多かった」などと課題を確認。
本部長を務めた稲葉真副院長は「訓練を経験したのと、していないのとでは大きな違いがある。とにかく訓練に出てみること」と繰り返し定期的に行う大切さを職員らに呼びかけた。
また、当日は地域などから20人以上の見学者も参加しており、「本番さながらの真剣さ」「誰が何をするのか、わかっていても発災すると状況が違う。日頃の訓練が大切だと痛感した」などといった感想が上がっていた。